世界一の「ミネルバ大学」今までとは全く発想の違うカリキュラムとは?

教育書籍の書評

世界一の大学がどこかと問われれば、みなさんはどの大学だと答えますか。ハーバード大学でしょうか。スタンフォード大学でしょうか。オックスフォード大学でしょうか。実は、それらの大学を差し置いて、世界一といわれ始めている大学があります。それがミネルバ大学です。

ミネルバ大学の特徴は何と言っても、校舎がないこと。そして、4年間で7つの国際都市で住んでオンラインで学ぶというものです。その詳細が『世界のエリートが今一番入りたい大学 ミネルバ大学』という本に収められています。

この記事では、世界一の大学のコンセプトやそこに集う人々に焦点を当てながら、理想的な教育とは何かについて考察していこうと思います。

ミネルバ大学の特徴

講義という形式を徹底的に排除

ミネルバ大学は「今世紀最大のエリート大学をつくる」というコンセプトから生まれた大学です。授業は全てオンラインであり、教授が話す時間はわずか10分程度と決められています。その代わり、残りの時間は全て学生のディスカッションとなるのです。

学生は1つの授業のために4~5時間の予習が必要となります。その前提の知識を理解した上で、未だ人類が解決できていない問題について、現実的な実践という視点に基づき、徹底的に話し合うのです。

しかも、一度でも授業を欠席すれば単位をもらうことはできません。合格率役1%と言われる超エリートが集まる大学となっているのです。雇われている教授陣も、ハーバードやスタンフォード大学で経歴をもつ者や、実際に社会で成果を生み出した経営者などです。世界最先端、且つ、実践に則した人材をチョイスしています。

4年間で7つの国際都市に滞在

校舎がないということは、世界各国どこにいても学ぶことができるということです。ミネルバ大学では、1年間に平均で2か国に滞在します。サンフランシスコ、ソウル、ハイデラバード、ベルリン、ブエノスアイレス、ロンドン、台北の7か国です。

ばらばら大の陸にある都市、文化、先進国と発展途上国という様々な環境の中で実際に生活し、その国の在り方を肌で感じながら学ぶのです。常に新鮮な環境に身を置きながら、世界を舞台に学ぶ。正に真のエリート校にふさわしいカリキュラムであると感じます。

実践を積む

真のエリートであるためには、「変化の速い社会で活躍するための実践的な知恵」と「複雑化した国際社会や異文化への対応」という力が必要です。そのためには、学生の内から、理論や思考だけではなく、実践を積まなくてはいけません。これがミネルバ大学の大きな魅力を生み出している側面であると言えるでしょう。

世界各国で学ぶ学生たちは、現地の企業、行政、NPOと協働プロジェクトやインターンを通して、世界をよりよい方向に導く人材になるための経験を積み重ねていきます。卒業後は、既に、実践力を備えた状態で、世界課題を導くために動き出すことができるのです。

誰にでも開かれている

ミネルバ大学が名実共にの世界一と名高い理由の一つとして、誰にでも可能性を試す機会を極力与えていることもあげられると思います。校舎がないことから、学費を大幅に抑えることができています。年間の学費は、国公立のそれと比べて大差がなく、経済的に豊かでなければ入れないという敷居を排除しています。

また、75%が留学生という事実も、機会が平等に与えられている証拠だと思います。アメリカの大学であるはずなのに、7割以上は、アメリカ出身ではないのです。合格率1%の世界中のエリートをかき集めた多国籍な生徒たち。その生徒同士で学び合えば、間違いなく科学反応が起き、大きな相乗効果を期待することができるはずです。

日本の教育の問題点とミネルバ大学から学べること

何も意欲的にしたくない日本人

令和4年に出された経済産業省の「未来人材ビジョン」には、日本の現状の問題点がまとめられています。その中でも特徴的だったのは、「現在勤めている会社で働き続けたい」と考える日本人の割合も、「転職したい」「企業したい」と考える割合も、他国に比べて圧倒的に日本は低い結果となったのです。要するに、能動的に、主体的に何かをしたいという人が減っているのです。

少子高齢化社会が猛烈に加速していっている日本。国自体の衰退と共に、全体的な士気の低下を感じています。加えて、給料が上がらない事実と反比例して、高くなる税金・社会保障費。閉塞感を抱く空気が世の中を支配していることも、無理のないことだと思います。しかし、だからといって、何もしないままでは、自分の人生を大切に生きていると言えるのでしょうか。

ミネルバ大学から学べること

筆者がミネルバ大学のカリキュラムで一番よいと思ったことは、4年間で7か国もの国に長期滞在して、現地の人とプロジェクトを進めることができるという点です。

外国に滞在するということは、想像以上の経験値となります。筆者も2~5歳のときにアメリカに滞在し、カナダに9か月、その他15か国ほどをバックパック1つで放浪した経験があります。

海外に出て何よりも自分の人生にプラスになったことは「物事を見極める視点」です。筆者が海外に長期滞在や一人旅に出るとき、たくさんの人に止められたり、否定的なことを言われました。「外国は怖いところだ。」「戻ってきても、新卒ではないあなたに就職先は保障されない。」などの言葉です。

しかし、全くそんなことはありませんでした。もちろん、海外に行く前は情報収集を怠りませんでしたし、道行く旅人と常に確認し合って行動はしていました。そして筆者は、世間や周囲の話は真実ではないということを実感したのです。

人それぞれによって捉え方は違う。ならば、自分の目で見て、自分のハートで感じたことが真実だという結論に至ったのです。だから、日本に戻ってきて、様々な世間の「常識」を押し付けられたとしても、決して染まることはありませんでした。一歩引いて、その常識は真実かを常に疑って、調べるようになったのです。

ミネルバ大学では、北米、南米、アジア、ヨーロッパと全く違う環境にある人々の捉え方を7つもじっくり自分の中に醸成できるのです。卒業後に、生徒たちが生み出すものは、今までとは別次元の視点から発想されるものであろうことは想像に難くないと思います。

さらにすばらしいと感じるのは、行動力を鍛えることができることです。実際にアイディアや議論の結論を検証するために、現地の人と共に働く。それを習慣づける。すばらしく贅沢な環境だと思います。

日本の大学に限らずとも、知識だけ提供する講義という形態をとっている大学がほとんどであると思います。教授も、実際に社会で成果を残した人が教えるとは限りません。

その点、ミネルバ大学の教授陣は、一定の成果を残した実践力のある人材を多く採用しています。ミネルバ大学の卒業生が今後、何を為していくのか、注目していきたいところです。

まとめ

ミネルバ大学のことを遠い存在だと決めつけずに、その発想から何を得られるかを考えれば、何か価値を生み出すことができるはずです。

筆者は、そのような教育事業がこの先は少しずつ出来てくるのではないかと思っています。少子化となり、子どもの存在が貴重になればなるほど、一人にかけるエネルギーは集まりやすくなると思うからです。

将来、子どもたちが好奇心に満ち満ちた探求者となるためには、やはり幼いころからの自己肯定感の育成や好奇心、探求心をじっくり育てていくことが大切だと思います。それらをじっくり育てるために必要なことは、他にも記事にしてありますので、よろしければ、そちらをご覧ください。

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