元教師が伝えるLD(学習障害)の特徴と教え方を徹底解説!【国語編】

発達凸凹に寄り添う教育

「勉強を覚えることに時間がかかる・・・」「覚えてもすぐ忘れてしまう・・・」「ひらがな、カタカナ、漢字がなかなか覚えられない・・・」そのようなお子さんがいらっしゃる親御さんは、「なぜ?」という気持ちを抱えながら、きっと不安な気持ちでいると思います。

学習障害は、日本の人口の10%存在すると言われています。つまり10人に1人です。また学習障害レベルとまではいかなくても、定型発達の子どもよりも、若干学習の入りが悪いという子どもはいます。

そのような子どもを合わせると、場合によっては20%以上の困っている子どもがいる可能性があります。これは決して一部の限られた人に関係する話ではないのです。

筆者は元教師です。10年間の教員生活で、様々な学習上の特性をもつ子どもたちを教えてきました。毎年必ず1人はLD傾向の子どもを受け持ってきました。場合によっては3~4人受け持つこともあります。

そして、「なぜこの子には同じように教えても内容が入っていかない、もしくは定着しないのだろう?」という疑問を持ち続け、様々な指導法を研究してきました。

また、現在は発達障害をもつ子どもの療育に携わる仕事をしています。より専門知識の高い人たちと、日々、発達障害について研究をしています。

この記事を読めば、様々な指導法のバリエーションを知ることができます。お子さんの性格や特性を考えながら、それらを試していけば、通常の方法よりも効果的な教え方が見つかるはずです。本人に合った学習法を見付けるのが、早ければ早いほど、この先の人生を豊かにするチャンスを生み出すことができるでしょう。

LDの定義

文部科学省が定義しているLDの定義は以下のようになります。

学習障害とは、基本的には全般的な知的発達に遅れはないが、聞く、話す、読む、書く、計算する、又は推論する能力のうち特定のものも習得と使用に著しい困難を示す様々な状態を指すものである。

文部科学省「特別支援教育を推進するための制度の在り方について(答申)」より引用

さらにDSMー5というアメリカで出版された精神疾患の国際的な診断基準では、「困難を対象とした介入が提供されているにもかかわらず」「少なくとも6ヵ月間持続している」といった条件が明記されています。

ちなみにLDは学習障害とも呼ばれますが、厳密には限局性学習症という名称です。さらに、その中でも「読む」「書く」に関する症状の説明を引用します。

(1)不的確または速度が遅く、努力を要する読字

(2)読んでいるものの意味を理解することの困難さ

(3)綴字の困難さ

(4)書字表出の困難さ

「DSMー5 精神疾患の分類と診断の手引き」より引用

このような症状に対し、ディスレクシア(読字障害)、ディスグラフィア(書字表出障害)という名称が使われています。

ディスレクシア、ディスグラフィアの症状やつまずきの背景

ディスレクシア、ディスグラフィアの症状

ディスレクシアの症状

ディスレクシア(読字障害)とは言っても、読むことの困難さは、当然書くことにもつながってきます。ですので「読み書き障害」とも言います。ディスレクシアには以下のような「読みの問題」と「書くの問題」があげられます。

【読みの問題】

・就学前からひらがなに興味を示さない

・ひらがなを覚えても逐次読み

・音読がたどたどしく、読み誤りが多い

・特殊音節が正しく読めない

・自分で文章を読んで、内容読解ができない

【書くの問題】

・ひらがなや漢字を書くときに、文字を思い出しにくい

・形の似ている字に書き間違える

・似ている音を書き間違える

・拗音を正しく書けない

・促音が抜ける

ディスグラフィアの症状

ディスグラフィア(書字障害)は主に文字の形に関する症状となります。

・形の似ている字に読み誤る

・文字の読み飛ばしや行飛ばしがある

・ひらがな、漢字の形をうまく書けない

・鏡文字を書くことがある

・形の似ている文字に書き間違える

・斜め線を含む漢字がうまく書けない

つまずきの背景

つまずきの背景要因として考えられる要素は主に4つです。「音韻認識の弱さ」「デコーディングの遅さ」「視覚認知の弱さ」「視覚-運動協応の弱さ」です。順番に解説していきます。

音韻認識の弱さ

日本語を構成する音の単位を「モーラ」と言います。音韻認識の弱さとは、このモーラを正しく認識したり、操作したりする力の弱さのことです。

例えば、「かさ」(k/a/s/a/)を「あさ」(a/s/a)と聞き間違えるといった症状です。聴覚で捉える認知が弱いため、「k」のモーラを捉え損ねてしまうのです。

聞き取る時点で正しく認知できていなければ、当然、話す、書くときも間違った状態で表出することが多くなります。この音韻認識の弱さは、特に濁音、半濁音、拗音、促音の変化への困難さにつながることが多いです。

デコーディングの弱さ

「デコーディング」とは、視覚情報を音声情報に変換するスピードのことを指しています。このスピードが遅ければ、音読に困難さを示すことは容易に想像できると思います。

定型発達の子どもは、文字を見れば自動的に音が出てきます。しかし、このデコーディングが弱ければ、文字を見ながら、音を探さなければいけません。通常よりも音読をする負荷は当然高くなります。

視覚認知の弱さ

目で見たものの形を正しく認知する機能に弱さがある状態です。線の交わり、曲がり、傾きがうまく捉えられず、いびつになります。平仮名で言えば「あ・め」や「く・や」などに認知の弱さが現れる例があげられるでしょう。

視覚-運動協応の弱さ

微細運動障害という症状をもつ子どももいます。鉛筆を持つ、鉛筆を正しく動かす、裁縫の針に糸を通すといった、細かい手先の動きが求められる活動に対し、不器用さを示す特徴をもつ子どもたちです。

文字を書く場合は、視覚で正しく捉えた文字の形を、実際に腕や手首、指先、筋肉を通した運動によって捉えた形を再現しなければいけません。その協応に弱さを抱えているので、正しく認知できたとしても、認知通りに書字表出することができないのです。

指導・支援方法の実際

音読の指導・支援

ルビ振り/わかち書き

小学1年生の教科書は、すべて「わかち書き」といって、単語と単語の区切り目が分かるようになっています。これは単語の存在を浮きだたせて、言葉のまとまりを意識し、そのように区切って読む脳や思考を身に付けさせるためです。

2年生の後半から、このわかち書きがなくなっていき、3年生になると、さらに文字が小さくなり、ぎっしりとした文字の配列となります。この状態が特にディスレクシアの子どもにとっては厳しいのです。

それを解決する方法はシンプルです。単語と単語の間に区切り目を入れる。そして分からない読みがあることも含めてルビ振りをする。これだけで幾分か読むのが楽になる子どもがいます。

ルビ振りはデコーディングが遅い子どもに必要です。漢字を見て、その読みを思い出すまでの時間が非常にかかる子どもです。

一つ一つの漢字の読みを思い出すために、通常の何倍もの時間をかけてしまっていたら、授業にも置いていかれてしまいますし、本人も疲れてしまうでしょう。だからルビを振るだけでいくらか助かる子どもがいます。

指で押さえる/カラーバールーペ

ページを見ていても、どの行を読んでいるのかが分からない、見失ってしまうという視覚認知の問題をもつ子どもへのアプローチです。

一度教科書から目線を離すと、どこか分からなくなる。これに「不注意」といった症状が組み合わされると、集中を保つことも難しいですし、いざ、集中を戻そうと思っても、読む場所が分からなくなっている場合が多いです。

対策として、簡単な方法の中の1つである「指で押さえながら読む」だけでも変わってきます。多少、目線を外してしまったとしても、読んでいる箇所を指で押さえていきながら読んで入れば、目線を戻したときに、どこまで読んでいたかがすぐに分かります。

また、カラーバールーペといって、「拡大鏡」+「蛍光カラーで読みたい行の文字を浮かび上がらせる」ものさしがあります。文字が大きなって読みやすいですし、読むべき箇所だけ色がついているので、どこを読めばよいのかが明確に分かるのです。ほかにも、黒い紙を1行分のスペースだけ切り取り、読む文章だけを見えるようにするという支援もあります。

デイジーポッド

デイジーポッドという音読支援に特化したアプリ、ソフトがあります。ルビ振り、わかち書き、蛍光カラー、拡大などの機能がついた教科書教材がすべて入っている読み上げツールです。読みの速度を変えることもできます。

ディスレクシアの子どもの場合は、学校の音読の授業のときにしんどい思いをするのですから、事前にこのようなツールで耳から情報を入れて予習をしておき、学校の授業に臨むということが一番ストレスが少ないでしょう。繰り返し音声入力することによって、文字の羅列を見て、音が浮かんでくるようになります。

読解の指導・支援

筆者が教員時代に如実に感じていたのは、子どもたちの読解能力の低下です。10年間の教員生活の中で、明らかに減退を感じていました。

そもそも、社会で活字を扱う機会が減っています。今や、分からないことを本や辞典で調べる時代ではなく、動画で調べる時代です。文字に頼らなくても生活できるようになってきています。だからこそ、読解のテストが余計に難しく感じるのでしょう。

読解の指導は、その解き方をトレーニングすることが大切です。答えの探し方を教えるのです。大抵は問題文や解答欄に書かれている情報と同じものを本文から探せば、その周辺に答えがあります。

例えば「~特徴は何ですか。8文字で書き抜きなさい。」という問題が出た場合、「特徴」を赤で囲ませます。そして本文から同じ「特徴」というキーワードを見付けさせるのです。すると大抵はそのワードの直前に答えが書いてあります。

問題の指示を理解することも大切です。「書き抜きなさい」という指示であるのならば、漢字は漢字、平仮名は平仮名のまま、コピーしなければいけません。

小学校~中学校の国語のテストを分析すると、国語のテストの問題は実は15パターンしかないことが分析されています。つまり15パターンそれぞれの答え方が分かっていれば、極端な話、国語のテストは解けるのです。そのようなパターンを認知した上でトレーニングができる教材があるので、そのようなものを活用することをおススメします。

そして、ディスレクシア、ディスグラフィアの子どもたちへは、もう一歩深い支援が必要です。まず、読むだけで多大な時間とエネルギーを感じてしまうのですから、教師や大人が本文を読んであげる必要があります。もちろん、問題文もです。

一気に読むと忘れてしまうので、一つ一つ読む必要があります。できれば、近い距離で本人の目線や様子を感じ取りながら、今どこに困っているのかを見定め、「〇〇を囲むよ。見付けられるかな~」と言いながら、楽しい雰囲気でサポートすることが本人の助けになります。

また、書くことに膨大なエネルギーを使うため、テストを解く気力が湧かなくなってしまう場合は、口頭で答えさせ、それが合っていたら正解にするといった配慮も必要になります。

作文の指導・支援

作文に必要な力は複雑です。書きたい内容をイメージした後に、特殊音節や助詞の表記、漢字表記、文脈、句読点などの作文のルールに気を付けながら書かなければいけません。そこにはワーキングメモリや物事を計画するプランニングの力も必要となります。

ただでさえ、ディスレクシア、ディスカリキュアの子どもは、上記の点に弱さを複数もつ子どもが多いのですから、定型発達の子どもよりも、作文の負荷は格段に高いと言えます。

作文の支援の中で、筆者が最も効果的だと実感してきたのは、「手本」です。手本がなければ話にならないと言っても過言ではありません。特に年齢が低ければ低いほど、です。なぜならば、読み書きに困難がある子どもは、往々にして「継次処理」である場合が非常に多かったからです。

認知特性というものがあります。これは、どのような学習方法が本人にとって適切であるのかをはかる、一つの指標となるものです。

例えば目て見て覚えることが得意か、耳で聞いて覚えることが得意かの、視覚優位、聴覚優位もその一つです。そして、同時処理、継次処理も認知特性の一つとなります。

同時処理は、「全体→細部」と理解することが得意なタイプです。歴史で言えば、先に時代の名前を一覧で学習してから、それぞれの時代を押さえていくタイプでしょう。視覚や運動を通した情報入力が得意で、曖昧な指示でも動けます。

次が継次処理。継次処理は順序だてて考えることが得意なタイプです。このような子どもには、ストーリー調にして話すとよく内容が入ります。聴覚的、言語的な情報が得意であり、ミスが少ないタイプです。その代わり、作業に時間がかかります。大体ですが、8割が同時処理、2割が継次処理に分かれます。

継次処理は、指示が曖昧では、どう動いたらよいかが分かりません。だから、明確な上にも明確な指示が必要となります。だからこそ、手本なのです。

手本は全ての情報がつまっています。書き出し、文末、内容構成、作文のルール、そのようなものをいつでも手元で確認をして、内容を少しカスタマイズして書けばよいのですから、継次処理の子にとって非常に安心感のある支援なのです。それを「構成表の手本」、「作文の手本」と作業の度に用意します。後は本人が困っているところをヘルプしてあげればよいだけです。

また、文章の型を教えて、それを何度も使って習熟させることでも、力を付けることができます。例えば、「私が~で心に残ったことは三つあります。一つ目は~です。・・・二つ目は~」といった具合です。この数を示す方法は作文にも、論文調の文章にも応用することができるので、シンプル且つ汎用性があります。

ひらがな・漢字の指導・支援

ひらがな・漢字の支援は様々なレパートリーがあります。漢字とひらがな、どちらにも応用できるもの、一方に適しているものを含めて紹介していきます。

指書き

鉛筆を持たずに、指で書いて覚える方法です。平仮名・漢字両方に応用できます。鉛筆を持つだけでワーキングメモリを使ってしまう子どもがいます。ましてや手先が不器用であれば、マスの中に収めて書く、丁寧に書く、形を整えて書くといっただけで、脳のメモリをそれらを意識することに大量に使わなければならなくなります。

だから、指だけで覚えさせるのです。指で机の上に書くならば、形がいくら崩れていようと構いません。覚えることだけに集中できます。

また、指は「第二の脳」と呼ばれます。人間の中で最も神経が多く集まっている部分だからです。赤ちゃんも、初めの感覚探索は指でつまみ、口で食べるところから始まります。だから、指、特に人差し指の平をグッと押さえながら、指書きをして覚えるのです。

さらに、書き順を唱えながら覚えると音声入力=聴覚情報になります。加えて、指書きは肩から先を動かすので、鉛筆を持って書くよりも運動の要素が多いです。だから運動情報として入力することができます。もちろん手本を見て覚えるので、視覚入力も行っています。

このように、様々な感覚を使いながら物事を覚えることを多感覚指導と言います。「学習の法則」というものがありますが、1つの感覚を使って覚えるよりも複数の感覚を使って覚える方が、科学的にも効果があることが実証されています。

部首を活用した指導

部首の意味でまとめて覚えてしまう方が、有効である子どもがいます。例えば、水に関係する漢字は「さんずい」という具合に、共通する部首のグループである漢字をまとめて覚えてしまうのです。

漢字のなりたちは諸説ありますが、小学生向けのなりたち辞典を活用するのもおススメです。筆者は『藤堂方式/小学生版 漢字なりたち辞典』が分かりやすく、よく授業のときに活用していました。

漢字のつくりのそれぞれの形が、実は何を表しているのかが、イラストと知的興奮を味わえるストーリーで解説されています。読書感覚で楽しく辞典を読めてしまう。そして、覚えたストーリーは強烈に脳に刻まれます。

また、視覚認知の弱い子どもに「漢字パズル/漢字たしざん」を使った指導をすることも有効です。「田+力=?」のような問題です。視覚認知が弱い子どもは、線の交わりや部分のつながり、線の分離を捉えることに凹みをもっている場合があります。だからこそ、パズルやたしざんで、その部分の負荷を減らし、形を捉えやすくしてあげるのです。

意味・読み・形を関連づける指導

「漢字絵カード」を使った指導法もあります。例えば、かもがわ出版から出ている『漢字イラストカード』。カードの下半分に「着」といった漢字が書かれており、上半分に「服を着る」イラストがかかれています。それを以下のように活用します。

  • カードの下半分を隠して、絵だけ見せて漢字を当てさせる
  • 反復して練習し、全部言えるようになるまで行う
  • 絵だけ見て漢字を書く→合っているか確認→間違っていたら3回練習

これは、意味優先の読み書き支援です。「漢字の意味が分からなければ、漢字自体を関連付けして覚えることができない」という子どもに対して有効であると言えるでしょう。

絵かき歌のように学ぶ指導

漢字の形をうまく捉えられない、覚えたとしても記憶が定着しにくいという特徴をもち、且つ、聴覚で覚えることが得意な子どもには絵かき歌(口唱法)の」ような指導も効果があります。具体的な書籍で言えば『下村式 となえておぼえる漢字の本』や『漢字九九カード』といったものです。

例えば、「天」という漢字は「よこぼうながく→みじかいよこぼう→そしてさいごに人(ひと)をかく」と唱えることができます。「右」であれば、「ノんきに→一ぴき→ロばくんは→右へ」という唱え方も記載されています。

大事なことは唱え方だけではなくて、その唱え方が漢字のどの部分を指しているのかが分かる視覚支援もすぐ横に示されていることです。

また、オリジナルな絵かき歌を親子で一緒に考えて、リストにしていくという方法も楽しく取り組めるよい方法だと思います。『うちの子は字が書けない』という本にも、楽しく一緒にカードを作る様子が描かれているので参考にしてみてもいいでしょう。

十の画べえ

そもそも書くことに抵抗がある場合は、書かずに覚えることができる教材を使うことも手段の一つです。

「十の画べえ」という教材は、「横棒」「縦棒」「ハネ」「はらい」等、画のパーツを置いて漢字を作っていく教材です。どのような漢字でも10種類のパーツがあれば組み立てることができるように作られています。色分けもされているので、線と線とのつながりが分かりづらい図地弁別が弱い子どもでも、線の切れ目が分かりやすいです。作った漢字は撮影をして、情報を蓄積させていきます。

習字を使った指導

習字にして字を書くだけでも覚えやすさに違いが出る子どももいます。習字の方が字が大きいですし、とめ、はね、はらいを意識しやすいです。

指書き、空書きと同じで、ただ鉛筆を持つよりも大きく体を使うので、運動感覚を使って情報入力をすることができます。字をマスにおさめて書くことが苦手なタイプの子どもも、習字なら大きな紙に字を収めることができるでしょう。

音韻認識の弱さの指導・支援

音の抽出

言葉の中に指定された音が入っているかの判断をする練習です。例えば「ば」という言葉を指定し、「おばあさん」の中には「ば」は入っているか、そうではないかを〇、×で判断させます。〇、×の札を作ってどちらかを判断して上げる方がゲーム性があって面白いですし、言葉自体に弱さがある子どもにとっては、動作の方が楽に参加できるでしょう。

モーラ分解

特殊音節を含む単語の音を捉えることができるようにする練習です。言葉を言いながら手拍子で音の拍を確認します。特殊音節のモーラのときも手拍子で叩くことによって、その音に注目させながら練習できます。

最初は指導者と一緒にやりながら、徐々に難易度を上げて、自分でチャレンジをさせる回数を上げていくようにスモールステップで教えるとよいでしょう。

言葉あそび

音韻認識の弱さのトレーニングとなる言葉あそびを紹介します。隙間時間に、遊び感覚でやってみるとよいと思います。

①「しりとり」・・・言葉の最後の音を抜き出し、同じ音から始まる言葉を探す。

②「『〇』のつく言葉さがし」・・・「あ」で始まる言葉を探す。モーラ数で得点化する。(「あ」以外でももちろんOK)

③「タヌキで言おう」・・・「た」が入る言葉を言われたら、「た」を抜いた状態でその言葉を答える。(「かたつむり」→「かつむり」)

④「反対言葉」・・・「いかなと」→「となかい」のように、文字の配列を反対にしたものを答える。

⑤「動物探し」・・・「冷蔵庫の中にいる動物は?」→「ぞう」のように、出題されたワードの中に隠れている音の動物を探す。

⑥「モーラすごろく」・・・絵カードをめくって、出た数のモーラ数分コマを進める。

⑦「モーラ言葉探し」・・・数字カードをめくって、出た数のモーラ数の言葉を探す。

視機能の弱さの指導・支援

視機能の弱さは、LDとはまた別のアプローチが必要になります。ビジョントレーニングで目の動かし方のトレーニングを行うことが有効です。ビジョントレーニングは様々書籍が出版されているので、そちらを参考にしてみるとよいと思います。

聴覚的ワーキングメモリの指導・支援

音声だけの情報では、聴覚的ワーキングメモリに弱みをもつ子どもにとって、文字情報を分かりやすくインプットすることは難しいです。だからこそ、視覚情報を使います。

拗音の文字が対応したカードを用いて教える方法があります。「きゃ」の拗音ならば、文字と一緒に「キャベツ」の絵が載っているカードを作成。「きゅ」なら「給食」のイラストといった具合にです。

その上で読みを確認し、慣れてきたら、カルタのようなゲーム形式で遊んでみたり、イラストだけを見て拗音を書かせてみたりと活動の負荷を少しずつ高めていくことも、定着につながっていく子が存在するはずです。

デコーディングの指導・支援

デコーディングとは、視覚情報を見て音声化をするスピードのことを言うのでした。このトレーニングとしては、フラッシュカードを用いるのが効果的です。

絵や文字、数字のフラッシュカードをパッ、パッとめくっていき、声に出して答えさせるのです。これを毎日のように少しずつ行うことで効果が期待できます。教室では、3日目あたりからカードをめくって0.5秒ほどで答えることができるようになっていきます。反応速度が上がり、デコーディング機能が上がっていくのです。

視覚認知の指導・支援

視覚で形をうまく捉えたり、どこに情報があるか分かりやすくしたりする支援です。間違い探しや点つなぎは細部に注目し、構成する形を捉えるトレーニングになります

文字の形が整わない子どもには、カラーマスを使って文字を書かせるのも効果的です。漢字の交わり、重なりが分からない場合は、一画目、二画目と線の色を変えることが支援になる子どももいます。

また、音読するときに、どこを読めばよいかを分かりやすくするカラーバールーペのような道具を使うことも有効である場合があります。

目と手の協応、不器用さの指導・支援

鉛筆を使う細かい指の動き、筆圧がうまく調整できない子どもには、道具自体を変えてしまう方法が有効であることが多いです。

鉛筆自体を濃いものや太いものにしたり、鉛筆を持つ手の補助具を付けてもいいでしょう。大きく書いてとめ、はね、はらいを捉えやすい習字も効果があると言われています。ホワイトボードに書いたり、タブレットに書くことも、鉛筆で書くよりも負荷が少ない動作で取り組むことができるはずです。書くと光るペンで筆圧の強弱を視覚的に分かるようにする方法もあります。

プランニングの指導・支援

プランニングは、作文のときは特に、その他のことでも、ものごとを計画的に進めていくために必要な能力です。作文でいえば完成図に近づけるために、文法、構成、文脈に関しての思考、情報を統合していく役目を果たしているとも言えます。

5W1Hのシートを使いながら作文を書くという支援もあります。また、学習だけではなく、戦略が必要なゲームでも、プランニングの力は実は鍛えられています。UNO,トランプといったカードゲームでも、です。大富豪など、戦略をかなり必要とするゲームはうってつけであると言えます。

文字と音の関連付けの指導・支援

文字と音をそれぞれでは覚えていても、両者がリンクしていない子どももいます。その場合は、絵が大きく表示されているカードを使い、「ありの”あ”」「いぬの”い”」と声に出して読んでいきます。その際に、45文字を何秒で読むことができるかを計っておきます。そして、文字が大きく表示されているタイプのカードでも、同じように声に出して読み、タイムを計ります。そのタイムの差をどれだけ縮めることができるかを目標に、練習を繰り返していく方法があります。

拗音の指導・支援

拗音は「きゃ、きゅ、きょ」ではなく、「きゃ、しゃ、ちゃ」のように、段の系列で指導していった方が混乱・混同が少なくて済みます。ここでも、文字のカードを使った指導法が効果的です。手順を以下に示します。

①濁音・半濁音も含めて全ての拗音のカードを作る

②カードを提示して読ませる

③カードを並べて、指導者が言った拗音のカードを取らせる

④拗音を指導者が聴覚提示し、聞いて書かせる

⑤その拗音が入った言葉を一緒に考えて書く

自分で拗音を含めた言葉を考えて書く、ということが大切です。自分で活用してこそ、実際に使うことができるための指導になります。

促音の指導・支援

読み書きの最後は促音の指導です。促音は実際にはほとんど音はないのですが、きちんと言葉の拍としてはカウントすることを中心に学習させていきます。指導の手順は以下のようになります。

①「トラック」の場合、言葉を言いながら4拍分手を叩く

②音を言わなかったのに手を叩いたところが促音だと教える(トラック→〇〇×〇 ×が促音)

③同じ方法で、違う単語も促音がどこにあるかを探す

④「っ」のところは手を叩かずに、手をグーにする方法も有効

話す・聞くに関する指導

「話す・聞く」の指導に関係する活動やゲームの例です。「読む」「書く」の領域でも「話す・聞く」力を育てる活動が入り混じっているので、ここでは、楽しくゲーム感覚で行うことができるものに絞ってあります。「しりとり」や「なぞなぞ・クイズ」なども「話す・聞く」のトレーニングになるのです。隙間時間を使って、子どもとのコミュニケーションの手段として、このような活動も行ってみてみいいかもしれませんね。

まとめ

ここまで様々な指導法を紹介しました。「こんなにたくさんあったらどれを選べばよいか分からない」と思った方もいるかもしれません。しかし、筆者も、子どもの様子を見て「この指導法が一番効果的だ」とすぐに分かるわけでもありません。

これまで多くの子どもと接してきたという経験があるからこそ、大まかな見立てをすることはできます。ですが、その先は試行錯誤の連続なのです。

「本に書いてある方法通りにいかないから駄目だ」ではなく、その子どもを見て、表情、動きをよく観察し、支援者が工夫に工夫を重ねて、ようやく適した支援方法を見つけていくことができるのです。

ここまで書き記してきたのは、あくまで代表例とされる支援方法。そして、それを目の前の子どもに合った形でカスタマイズしていくのが、支援者の役割だと思っています。

諦めず、何度も様々な方法を試し、少しでもお子さんが自立に近づけるように支援をしていくことが大切です。もし、それでもどうしようもなく立ち止まってしまったら、専門家に意見を聞いたり、学校の先生に聞いてみたりしてもよいでしょう。もちろん、筆者に聞いてもらっても構いません。分からないところがあれば、質問してくださればと思います。

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