【元教師が教える】子どもの自己肯定感の高めるために親がすべきこと

家庭教育のすすめ

「あなたは、自分の長所も短所も含めて自分に点数をつけるとすると、100点満点中何点ですか。」

こう問われて、皆さんはどう答えますか。「自分に高い点数をつけるなんて気が引ける。」と思う人も多いのではないかと思います。実は、この質問で大方、自己肯定感が高いかどうかが分かってしまいます。

筆者は元小学校教師です。10年教員を続けていく中で、自己肯定感が高い子どもと、低い子どもの違いが分かってくるようになりました。

自己肯定感は本当に大切です。高い子どもは、友達関係も安定しており、学習に対して前向きです。だからこそ、毎日が充実しています。

逆に、低い子どもは、友達に対して疑心暗鬼なところがあり、不安感が強いです。だから、自分の意見を堂々と伝えることができません。

では、なぜこのような自己肯定感の高い、低いの違いが生まれるのでしょうか。そして、今から自己肯定感を高めていくにはどうしたらよいのでしょうか。

10年の教員経験や研修・セミナーに多額の投資をして得た知見を基に、解説をしていきます。

子育てで一番大切なのは「自己肯定感」

「子育てで一番大切なのは、子どもの自己肯定感の土台を作ってあげること。」これは、様々な教えや学びの中で、筆者が結論づけた答えです。

自己肯定感が高い子どもは、教師や友達から信頼、期待され、それに応えていきます。それも楽しみながら。低い子どもは、人との信頼関係を上手に結べず、学習の吸収も安定しません。ここからは、その違いが生まれる要因を書いていきます。

そもそも「自己肯定感」って何?

自己肯定感とは、「ありのままの自分を肯定する感覚」のことを言います。自己肯定感という土台がしっかりしている人は、自分の欠点も受け入れつつ、「でも私にはこのような長所がある。」と前向きに捉えることができます。

逆に自己肯定感が不安定だと、自分の欠点ばかりに注目してしまったり、失敗に対するショックが人一倍大きかったりするのです。

信頼関係を築くには「自己信頼」が必要

「自己を肯定している」ということは、「自己を信頼している」ということです。自己を信頼しているからこそ、友達や周りの大人を信頼することができます。

誰だって、自分のことを信頼してくれる人に悪い感情は抱きません。だから、友達や周りの大人からも、好意を寄せられ、信頼が返ってきます。そして、お互いに信頼し合う人間関係を築くことができるのです。

そのような感覚で過ごしていると、「人と人は信頼し合える」ということを、体験として学んでいきます。するとますます人への信頼は増していきますし、相手からも信頼が返ってきます。信頼関係を結ぶことが当たり前となる大人へと成長していくのです。

また、「今の自分に満足している」という満ち足りた状態であるからこそ、周囲の人々に幸せやよろこびを分け与えようとします。

人に与えようとする人間の元には、感謝や愛情が集まります。結果的にその人の周りに起こる現象は、ほとんどが幸せで、満ち足りたものになっていくのです。

逆に、「自分に満足していない」状態だと、不満を抱きやすくなります。人の成功を妬んだり、相手より上に立とうとマウントをとったりします。

誰だってそんな人の周りには近づきたくありません。すると、人が離れ、「どうして私ばっかり・・・」と不満を抱き・・・という負のループに陥っていくのです。

類友の法則

「類は友をよぶ」ということわざがあります。このことわざは真実を言い当てていると思います。

筆者は様々な子どもを受け持ってきましたが、なぜか、自己肯定感が高い人は自己肯定感が高い人と引き寄せ合うのです。良い友達に恵まれ、良い意味で切磋琢磨し、クラスでも様々な分野で活躍するリーダーへと育っていきます。

そして、自己肯定感が低い人は低い人同士で集まるのです。すると、仲間外れや陰口、ひどいときはいじめに発展していきます。

学習や行事に取り組むときも、人より目立って妬まれることを恐れてしまうのです。足を引っ張り合ってしまうことになります。

中には、上記のことがきっかけで、不登校やリストカット、拒食症、うつなどの心理的不安から生じる症状が出てしまうケースもあるのです。

そして不思議なことに、なぜか自己肯定感が高い人と低い人は引き寄せ合わないのです。

「馬が合う」ということわざがありますが、波長のようなものがあるのでしょう。そして、自分にとってふさわしいと思える場所を無意識に選んでいくのだと思います。

「自己効力感」や「レジリエンス」との違い

「自己効力感」という言葉があります。これは「自分は人の役に立つことができる存在だ。」「自分ならやり遂げることができる。」といった感覚を指します。この「自己効力感」と「自己肯定感」は上下関係にあります。

「ありのままの自分で大丈夫」という自己肯定感が土台としてしっかり築かれていると、「自己効力感」をもつことができます。

絶対的な安心感があるからこそ、「自分ならできる」という段階に入ることができるのです。そのような意欲に満ち溢れている状態ならば、学力も社会性もグングン吸収していくことができるのは、イメージできると思います。

やがて、その「自己効力感」が変化していくのが「レジリエンス」です。つまり、何らかの課題や困難に直面した時も、自己信頼が高い状態で乗り越えることができるのです。

自己肯定感、自己効力感、レジリエンスは「生きる力」そのものです。

「自分ならできる」「どんな困難だって自分は乗り越えることができる」という感覚は、心のエンジンをふかせるガソリンなのです。だからこそ、困難な状況という急斜面でも、強いエンジンの力で登り切ることができます。

自己肯定感が高い人の特徴

自己肯定感が高い人は次のような特徴をもっています。

  • 安心感がある
  • 自分を尊重し、相手も尊重できる
  • 自然に意欲が湧いてくる
  • 人と比べず、自分で自分を評価できる
  • 周りに振り回されない
  • 自分の人生は自分で決めている感覚がある
  • 主体性が高い
  • 生きるのが楽

このような人だったら、周りから頼られて、幸福で満ち足りた人生を送ることができるでしょう。

自己肯定感が低い人の特徴

逆に、自己肯定感が低い人は次のような特徴をもっています。

  • 不安になりやすい
  • 自信がない
  • 物事を否定的に捉えやすい
  • 人と比べる
  • 他人の評価で自分を判断する
  • 人に対して批判的な傾向がある
  • 罪悪感をもちやすい
  • 自分の人生は他人に決められている感覚がある
  • 主体性が低い

このような感覚だったなら、生きるのが苦しくなってしまいますよね。常に何かに縛られているような感覚があり、何をするのも、心のエネルギーの消耗が激しいことが想像できます。

「自己肯定感」と「しつけ」や「勉強」のバランス

子育ては、「しつけ」や「勉強」という他の要素もあります。これらも、もちろん大切です。しかし、育んでいく順序を逆にしてはいけません。

まずは、絶対的な安心感を築くために、自己肯定感を育むことを最優先します。無条件に子どもの存在を受け入れるような、愛着を育む時期ですね。これが生まれてから3歳、4歳までの間です。

「三つ子の魂百まで」とはよく言ったものですが、3歳までの愛着形成(自己肯定感の育成)が勝負です。「自分は存在しているだけで価値がある」ことをしっかりと根底に植え付けるのです。

次に「しつけ」を教えます。これが4~6歳の時期です。生活習慣や対人関係のルールを教えていきます。

3、4歳までに、親との信頼をしっかりと築くことができていれば、愛着の築き方を無意識に覚えていることになります。

すると、先生や友達とも良好な関係を築けます。その安心できるというベースがあるからこそ、ルールが入っていくのです。

そして、「勉強」です。これは7歳からが適切な年齢となります。だからこそ、小学校は7歳になる年からスタートするのです。

自分の生活範囲全般に安心感をもった状態だからこそ、意欲や好奇心が湧いてきます。結果として様々なことに挑戦をし、学力や能力を身に付けていくのです。

この順序をごちゃまぜにしてしまうと、「満たされていない」という気持ちが残ります。その気持ちは「愛されたい」という欲求に変わり、気持ちが強くなりすぎると反社会的な行動に出てしまったりするのです。

子どもの自己肯定感を高めるためには?

「え?そんなこと知らなかった。じゃあ、4歳以降はもう取り戻せないの?」そう思った方がいるかもしれませんね。でも大丈夫です。自己肯定感は何歳からでも取り戻すことができます。

特に、幼ければ幼いほど、自己肯定感は修復しやすい傾向があります。

ここからは、自己肯定感を高める方法を紹介していきます。

プラスのストローク

大人になると、自分で自分の価値観を変えていくことでしか自己肯定感は修復できませんが、子どもは外からの働きがけで自己肯定感を高めることができます。親ではなくても、先生や友達からのアクションで効果が出るのです。

 子どもの行動の奥には、言葉にはできずとも様々な思いがあります。「分かってほしい」「認めてほしい」「気付いてほしい」「愛されたい」「信じてほしい」といった気持ちです。

親は、その思いを満たしてあげればよいのです。その「子どもの思いを満たすための行動」を「プラスのストローク」と言います。具体的には次のような行為です。

  • 微笑む
  • 褒める
  • 励ます
  • 注目する
  • 一緒に喜ぶ
  • 目を見て話す、聞く
  • 抱きしめる

こういった日常の何気ない行動の中で、自己肯定感は育まれていくのです。最初は慣れなくても、繰り返し意識していく内にできるようになっていきます。まずは、やってみることです。

「甘やかす」と「甘えさせる」の違い

子どもの自己肯定感を育むには、「甘えさせる」ことが大切です。よく聞く「甘やかす」との違いを説明します。

「甘やかす」は親の都合を押し付け、過保護、過干渉に子どもに関わることです。親のペースが尊重され、子どもの精神的自立を遠ざけるだけでなく、自己肯定感を低下させます。

子どもの意見も聞かずに「あなたはこの今日からこの塾に行くのよ。」と勝手に親がレールを敷いてしまうことなどが典型でしょう。

一方で「甘えさせる」は、できない状態であることをサポートしていくという体勢です。「相手から求められた愛情に応える」という子どものペースを尊重したかかわり方です。

そして、これは、子どものことを信じているというサインでもあります。「あなたは自分で何とかできる力をもっている。でも子どもだから分からないことも出てくる。そのときは頼ってね。」という思いを言葉にしなくても相手に伝えているのです。(もちろん、言葉にして伝えることも、とてもよい効果があります。)

このように、親の都合を押し付けず、子どものペースを尊重するということも、自己肯定感を育むには、極めて大切です。

結果にこだわらず、過程を認める

たまに「テストで1問間違えたから家で叱られた。」という子どもがいます。そのような子どもは、テストを受けるときは、どことなくビクビクしています。不安がベースにあり、自己肯定感が低いことが伝わってきます。例え勉強がよくできたとしても、です。

結果に対するフィードバックを行うときは、子どもの人格を決して否定してはいけません。

「結果を出せない自分は価値のない存在だ。」と、結果と存在価値をイコールで結び付けてしまう恐れがあるからです。すると、「~ができない自分は生きている価値がない。」と自分自身を苦しめる大人になっていきます。これは極端な例ですが、事実でもあります。

だからこそ、良い結果でも悪い結果でも決して人格を否定せずに声をかけましょう。

「100点だったんだ。お母さんは100点だったことがうれしいんじゃなくて、あなたが自分で何とかしようと根気よく取り組んだことがうれしいよ。」このように、結果を褒めることは避けるのです。

逆に悪い結果でも、「70点だったんだ。惜しかったね。それでも、あなたが一生懸命宿題をやって自分で何とかしようとがんばっていたことは見ていたし、その姿が何よりうれしかったよ。あなたなら大丈夫。信じているよ。困ったことがあったら頼ってね。」と声をかければいいと思います。

そして、「例えどのような結果だったとしても、あなたのことが大切な気持ちは変わらないよ。そのままのあなたでも十分、お母さん、お父さんは幸せだよ。」と伝えてあげてください。

この言葉が、何よりも子どものエネルギーになります。「自分の存在は、結果や能力に左右されない揺るぎない価値をもっている。」ということを認識するようになっていくのです。

人格でなく、行動を叱る

子どもですから、間違った行動をとってしまうこともあります。そのようなときでも、人格を否定することは控えてください。「お前はダメなやつだ。」という存在そのものを否定する言葉です。

もし万引きのような悪いことをしてしまったとしても、その行動のみに焦点を当てて叱ってください。

「人のものを盗んでしまうことは、そのお店の人が、家族のために一生懸命働いているものをとってしまったということだよ。それはお店の人も、家族も悲しむよね。そして、あなたが人を悲しませてしまったことが、お母さんは悲しい。だから、お店のものはきちんとお金を払って買ってほしい。あなたなら分かってくれると信じている。そしてあなたが何か間違ったことをしてしまったとしてもあなたのことを大好きな気持ちは変わらないよ。」

このように、相手や家族がどのような気持ちになるのかを伝えるのです。

このような声掛けを繰り返し行っていけば、「自分は信じられている」「自分は大切な存在なんだ」と子どもは感じるようになります。すると、不安が安心に変わり、正しいことを自分で判断できるようになっていくのです。

親自身の自己肯定感を高める

最終的には、これが究極の方法となります。なぜなら、自己肯定感が高いと発する言葉、行動全てにプラスのストロークが宿るからです。

子どもがどんな状態でも、常に安心感のある、安定したフィードバックが返って来るからです。この方法の効果は絶大ですが、大人の自己肯定感を高めるには時間がかかります。

大人はある程度自分の価値観が定まっているので、それを変えていくのは地道な工程となるのです。

しかし、冒頭に「何歳からでも自己肯定感は高めることができる」と言ったように、可能です。まずは大人が自分を肯定し、自分を許していく中で、自然と子どもに、それが伝播していくのです。

この大人の自己肯定感の高め方は、別の記事で紹介しようと思います。

まとめ

自己肯定感を高めることは一朝一夕にできることではなく、地道な根気のいる取り組みです。

しかし、自己肯定感を高めることができたら、幸福で、満ち足りた人生を、子どもに贈ることができます。それだけやる価値のあるテーマです。

保護者の皆さんも、一人で取り組むのではなく、是非、周りの手を借りて、助け合いながら、子どもに働きかけてもらえたらと思います。

夫婦、学校の先生、ママ友、もちろん筆者でも構いません。本や動画でさらに知見を深めるという手もあります。

もし、分からないことがあれば、何でも質問してもらえればと思います。「大人の自己肯定感の高め方」という内容の記事もありますので、もし良かったら、そちらも読んでみてください。

日本の子どもたちが、一人でも自分のことをありのままに受け入れることができ、幸福で満ち足りた人生を送ることができるように願っています。

記事の内容が「よかった」「ためになった」と思われた方は、SNS等にシェアしてくださるとうれしいです。最後まで読んでくださり、ありがとうございました。

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