学校にはどのような職員がいるの?学校組織や役職・職員の種類を元教師が解説!

ここが気になる学校教育

「今年来たばかりなのにすぐ異動になる先生がいるけれど、なぜ?」「通級の先生って何をする先生なの?」学校の内情を知らない方からは、このような質問をされたことがあります。

学校内には、予想以上に様々な役職があり、それが、外部には広く認知されていません。

しかし、知っておいた方が資源を有効活用できることになりますし、相談するときや6年間をイメージする上で、ある程度の予測が立ちやすくなるでしょう。

そこで、学校内の役職や組織について、教師歴10年の筆者が1つ1つ解説していきます。これを知れば、困ったときに誰に相談すればよいのか、受けることができる支援は何なのかが分かるはずです。

学校にいる職員の役職の種類

まずは、職員の役職の種類をざっと列挙してみます。地域ごとに差があるかもしれませんので、そこはご了承ください。

◆校長

◆教頭

◆教務主任

◆校務主任

◆学年主任

◆学級担任

◆特別支援学級担任

◆通級指導教室担任(※)

◆保健主事

◆養護教諭

◆栄養教諭(※)

◆専科教諭(講師)

◆発達障害対応支援員

◆少人数指導教諭(講師)

◆スクールカウンセラー

◆日本語支援員/母語支援員(※)

◆事務職員

◆業務士(用務)

◆業務員(用務)

◆調理員

◆主幹教諭(※)

※は学校によっていない可能性のある役職

ざっとあげてみても、これだけの人数(役職)がいます。では、役職によって、どのような仕事を請け負っているのでしょうか。次からは、保護者にも関係がある役職を重点的に解説していきます。

学校組織・役職の仕事内容

校長

学校で最重要な役職は、やはり校長です。校長次第で、学校はよくも悪くもなります。筆者がこれまで出会ったよい校長には、共通して次のような特徴がありました。

①朝に校門で挨拶をしている

②子どもの名前をよく覚えている

③職員に積極的に話しかける

④朝会の話が短い・面白い

⑤ここぞというときの意見がブレない

悪い校長は、この逆だと思ってください。とにかく校長が明るいと、学校の雰囲気が明るくなります。また、校長の顔を地域の住民が知っていると、学校にも相談しやすくなりますし、理不尽な意見も減ります。保護者も安心感を覚えるでしょう。

そして、最終決定権を持つのは校長です。どれだけ間違ったことを言う声の大きい職員がいたとしても、校長が「それは違う」と言えば、正しい方針の基、学校運営が行われます。

プラス、職員に普段から話しかけ、働きぶりをよく見ているという普段のコミュニケーションがあるからこそ、職員も校長が話す内容に納得します。

教頭

教頭は、「管理」「外部とのパイプ」という2つが主な仕事であるイメージです。保護者対応、機密情報の管理、そして、PTAや外部機関との連携を行います。

例えば、「この子どもに発達障害の診断がおりており、特別支援学級に移籍したい」という場合も、教頭が窓口になります。学級には人数制限があり、その人数を越えると、クラスが2つに分かれたり、1つになってしまったりするからです。

ですので、転校、特別支援学級・通級指導教室に関する決断は教頭が担当します。PTAや社会福祉サービスもです。児童相談所による児童保護が行われた場合も、教頭が諸機関と様々連絡をします。

教務主任

この教務主任が、全職員に指示を出し、校長が思い描くビジョンを実現させていく実行部隊・実務家です。そして、校長、教頭を除く、全ての教員のボスのような存在です。

筆者の地域では、この教務主任の仕事が激務でした。学校運営に関する日常の決断は、ほぼ全て教務が決断していきます。「学校の年間の予定」「時間割」「各行事の運営」「時間割」「日常の授業の方針」「先生の心身の管理」「子どもの状態把握」「保護者対応」「校内で生じるトラブル対応」「教員欠勤による補欠・補充要員」「スケジュール調整」「各機関からの調査」などなどです。

要するに、先生方の仕事の状態、内容、子どもの状態、保護者の様子を、全体的に把握しておきながら、支援・調整を行っていくのです。

筆者は様々な教務主任に出会いましたが、皆、周囲のために尽くそうとする素晴らしい方々でした。ただ、日に日にやつれていったり、病気を患って長期入院してしまったりしている方が多かったです。

中には、ピンピンして、楽しそうにしている方もいましたが笑 そういう方は、細かいことを笑い飛ばせるプレッシャーに強いタイプだったと思います。

学年主任

その学年の責任者です。学年の方針、行事の進め方、教材の選択、スケジュール管理、学年の子どもに関する指導・対応などが主な仕事となります。

小学校は、ほとんどの場合、学年主任が学級担任を兼務しているので、自分も担任を持ちながら、学年全体よく観察し、調整をしていくのです。

学年主任がその学年の先生たちをよく見て、且つ、楽しく仕事をしていたら、学年全体の学級がよい雰囲気になります。

学級担任

これは解説する間でもないでしょう。産休や病休にならない限り、基本的に年度初めに任された先生が、1年間担任を受け持ちます。

筆者の勤めている地域では、新規採用された教員は、最初の勤務校に6年間在籍するのが定例となっていました。2校目以降は、8年で異動です。希望を出せば、満期を待たずとも、異動することができます。

一般的にはそうなのですが、教員採用試験に残念ながら合格しなかったという人でも、講師として勤めている場合があります。常勤教師であれば、通常の学級担任と何ら変わりはありませんので、外部からでは見分けがつきません。

ですので、長くいると思っていた先生が、実は講師であり、1年間で他の学校に異動してしまうということが起こるのです。

特別支援学級担任/学年主任

特別支援学級は、情緒と知的に分かれます。自閉などの対人関係や社会適応に困難を抱える子どもたち、そして、知的に遅れがあるというレベルの知能をもつ子どもたちを受け持ちます。

入学前に受ける就学時検診で特別支援学級に入ることを検討されることもありますし、通常の学級に所属していたけれど、やはり特別支援学級の方が適していると話し合われ、異動することもあります。

もちろん、本人の意思と保護者の意見を尊重しながら、です。

特別支援学級入るべきか否かは、特別支援学級担任+学年主任、通級指導教室担任、教頭、教務、特別支援コーディネーターが話し合い、方針を固めることになります。経験ある複数の教員で意見を交流し、慎重に事を進めていきます。

通級指導教室担任

通称「通級」は、一部特別な指導を必要とする子どもが障害に応じた指導を受ける教室です。通常級と特別支援学級の中間のような存在でしょう。特別支援学級に入るほどではないけれど、通常級では、どうしてもつまづきや不適応を起こしてしまう。そんな「グレーゾーン」の子どものための教室だと捉えると分かりやすいです。

通級は、その必要性が広く認知され始め、ようやく数が増えてきています。ですが、まだまだ整備が整っていない状態です。

大規模校ならおそらく通級がありますが、中・小規模校では、校内に通級がない可能性も大いにあります。そのような場合は、通級がある他校に保護者が送っていくのです。

通級に通う子どもは、週1時間程度、所属する学級を空け、通級で個別の指導を受けにきます。その子どもが抱える困り感、必要としている力を考え、ピンポイントでその部分を育んでいくのです。

そもそも通級による指導の対象となる子どもにはきまりがあります。

①弱視者

②難聴者

③肢体不自由者

④病弱者・身体虚弱者

⑤言語障害者

⑥情緒障害者

⑦自閉症者

⑧学習障害者

⑨注意欠如多動性障害者

注意すべき点は、通級の対象には、知的障害者は含まれないということです。それは、特別支援学級の仕事になります。

保健主事

学校運営上の衛生面・健康面を管理する責任者です。これは、他の役職と兼務する可能性もあります。校内のアレルギーをもつ子どもの面談の設計、職員への通知を行います。

養護教諭

いわゆる保健室の先生です。子どもの怪我や健康を実際にケアするのは養護教諭です。子どもに直接関わる管理(嘔吐・熱中症など)も、対応方法をマニュアル化し、周知する役目を担っています。

他にも、歯磨き指導・月経指導など、保健の授業を学級に赴いて行うこともあります。

栄養教諭

給食や食事の栄養指導を行う役職です。定期的に、給食の栄養素を解説したり、給食で使われている食材の産地を教えたりします。

専科教諭(講師)

専科とは、学級担任を持たず、特定の教科のみを教える教員のことを指示します。音楽や家庭科、理科などの教科を専科が務めることが多いです。

「3年生以上の音楽は全て専科の先生が受け持つ」という形で割り振られることが多くあります。1つの教科に集中して教材研究をしたり、授業準備をしたりする方が効率がよいという一面もあるためです。

そして、専科は講師である場合が多いです。正規採用ではなく、1年ごとの契約で学校に赴任にしている可能性があります。その場合は、わずか1年であっても異動するパターンが多いです。

発達障害対応支援員

各学級の発達に凸凹をもつ子どもへの加配として赴任するスタッフです。これは、正規採用という形ではなく、パートのようなポジションであると考えるのが妥当です。

今や、どの学級にも発達障害を抱える子どもがいることが明らかになっています。離席したり、教室の外に出て行ってしまったり、パニックになってしまったりということが日常茶飯事である学校も多くあります。そして、その症状は、低学年であればあるほど分かりやすく現れる傾向があります。

全体の授業進行を最優先に行わなければならない中で、個別に対応をすることは、時には限界があります。ですので、このような支援員の方にヘルプに入ってもらい、子どもや担任の負担を軽減するのです。

とはいえ、発達に凸凹を抱える子どもたちへの対応は、全く追いついていないのが現状です。この支援員のようなポジションの方々が、学校現場にもっとヘルプとして入ってくれるのが、理想、いや、必須だと思います。

少人数指導教諭(講師)

算数や体育など、教員1人ではなく2人体勢で教科指導を行うための教員です。主に、1人が主導して授業を進める教員、もう1人が個別支援に入る教員に分かれます。

TT(Team Teaching)といわれることも多いです。個別支援に入る教員は、講師の先生や、校務主任、教務主任などの空いているコマがある先生が入ります。

スクールカウンセラー

子ども自身が精神的に辛いときや、保護者が家庭の問題で手一杯になってしまっているときに、相談できるカウンセラーが、学校にはいます。

筆者の地域では、1つの学校に駐在しているのではなく、小学校と中学校、複数の小学校など、定期的に学校を訪問する形で働いていました。

担任に話せないことや、どこに相談してよいか分からないことなどを、このスクールカウンセラーにつなげ、スクールカウンセラーが必要あれば外部の機関につなげることもできます。

10年前は、その重要性はそこまで世間に知れ渡っていなかったと認識していますが、現在は必須の存在となっています。それは、メンタル面に悩みを抱える子ども・保護者、教員が多くなってきているからです。

カウンセリングは、然るべきところで受けると保険が適応されない、それなりの料金になることが多いです。しかし、学校であれば無料で受けることができます。

知っておいて損はない存在、且つ、いざとなったら頼ってほしい存在です。

日本語支援員/母語支援員

近年は、外国人労働者が増えてきた関係で、様々な国籍の外国人児童が学校に在籍することが多くなってきました。

その子どもたちは、通常学級に在籍し、普通に授業を受けるのですが、日本語を十分に話せないレベルであることがほとんどです。

日本語は分からなくては、国語の授業などは、何をやっているか訳が分からないと思います。担任も「何かしらの支援を設けなければ」と思うのですが、日本語が分からないということは、全ての教科の勉強+日常生活に支援が必要になります。どうしても、手一杯になってしまうのです。

ですので、日本語支援員や母語支援員が個別で教える時間が設けられるのです。

しかし、その時間も1か月に1回などといった微々たる頻度。まだまだ外国籍児童に対する支援は追いついていません。

筆者の知人の学校では、3分の1が外国籍の児童だそうです。校内に国ごとのコミュニティが出来上がっており、授業はほとんど成り立たない状態だと聞きました。

外国籍児童が公立の学校に在籍していく割合は、今後も増えていくでしょう。あまりに割合が増えすぎると、本気が学校運営が危うくなる恐れがあります。

事務職員

役所から送られてくる書類を管理したり、こちらが役所に送らなければならない書類を管理したりします。教員の給与や勤務に関する調整・管理、学校の予算の管理など、先生たちの労働管理・支援を行う役職です。

業務士(用務)

学校の敷地内にある様々な建物の管理・修理・修繕を行う仕事を担う人です。教室の扉、机、椅子、その他の環境の老化によって危険なものがある場合はそれを修理します。

子どもたちの生活を陰から支える縁の下の力持ちのような役職です。学校生活は、このような環境整備をしている人のお陰で成り立っています。

業務員(用務)

校内の掃除をしたり、来訪者の対応をしたり、学校行事の運営を手伝ったり、除草作業を行ったりします。

学校の規模によると思いますが、業務士の仕事を手伝っている業務員の方もいました。学校運営に欠かせない存在です。

調理員

給食を作る調理員です。学校の規模によりますが、300人規模の給食を2人で作っていたりする重労働です。休みが出てしまった場合は、他所からヘルプが派遣されたりします。

主幹教諭

筆者が勤務してきた学校にはいませんでしたが、校長および教頭を助け、校務の一部を整理し、子どもの教育(授業)も行うことができる役職です。スーパーサブ的な存在でしょう。

大規模校や人手が特に必要な学校に配属されているのではないでしょうか。

まとめ

様々な役職を解説してきましたが、筆者が特に覚えておいてほしいのは以下の3つです。

①通級指導教室担任

②スクールカウンセラー

③発達障害対応支援員

これは、知らなければ、自ら利用申請するという考えすら思い浮かばないからです。

発達に凸凹があったり、精神的な負担を抱えているのならば、これらの学校にある資源を活用してください。担任の先生、教務の先生に問い合わせれば、答えてくれるはずです。

とにかく大切なのは、予防です。それができなくても、問題が大きくなる小火の段階で早めに動くことです。

そうすれば、子どもが抱える失敗体験は少なくて済みます。もっと、これらの学校の資源を活用することが当たり前の世の流れになってほしいと願っています。

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最後まで読んでくださりありがとうございました。

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