【元小学校教師から見た】勉強ができる子の共通点 なぜあの子は何でもできるのか?

家庭教育のすすめ
A mother who praises a child playing in the room

「この子は本当に何でもできるなぁ。」「あまり教えなくても、自分で成長していく。なんでだろう。」教員時代、よく筆者が思っていたことです。

30人もクラスにいれば、「何でもできてしまう子」「勉強ができる子」「成績が良い子」は3~5人ほどはいます。そして、それらの「何でもできる子」は、似通った共通点をもっているのです。

この記事では、小学校教員を10年勤め、教育に関する勉強に約1000万円を投資してきた筆者が、「何でもできる子」の共通点と、子どもの力を伸ばすために親ができることを解説していきます。

読み終えたとき、「親は、自分なりに何をすればよいのか。」がきっと分かるはずです。

勉強ができる子・成績が良い子・何でもできる子の共通点

「何でもできる子」の共通点は様々ありますが、経験上、最も大切だと感じた4つの点に絞ります。彼ら・彼女らは、次のような特徴をもっているのです。

  • 自分なりの目標をもち、達成するまでやり切る
  • 素直である
  • 間違いやできないことをそのままにしない
  • 何に対しても楽しんで取り組める

では、これらの具体的な特徴と、なぜ大切であるのかを解説していきます。それが分かれば、自然と親がすべきことが見えてくるはずです。

自分なりの目標をもち、達成するまでやり切る

これは、顕著に現れる特徴です。「何でもできる子」は自分なりの価値観や目標をはっきりもっています。つまり「周りと比較しない」のです。

とは言っても「僕はこの目標じゃなきゃ絶対嫌なんだ!」といった頑固な態度ではありません。

「周りはそれぐらいの目標なのか・・・。でも、私はここだな。」といった具合の、周囲とのバランスを見つつも、自分に合った目標を選択する能力をもっています。

そして、目標の設定値が極めて正しいことが多いのです。本来、良い目標とは「自分の力を出し切らなければ達成が難しいレベル」であると言われています。

人間は、自分の力を出し切ると、脳が「現在の力ではまだ足りないようだ。」と認識します。すると、次に同じような状況に出会ったとき、それを上回る力を脳や体が用意するのです。筋トレのイメージに近いですね。

彼ら、彼女らは、その「ギリギリラインの目標値」を設定するのがとても上手なのです。決して、達成困難・無理な目標は立てません。しかし、楽すぎてやりがいのない目標も立てません。自分の力を客観的に測ることができるのです。

さらに、一度自分の中に定めた目標を達成することにこだわります。途中で諦めてクオリティを落とすということをしません。

人目を気にしたり、自分の心を無視したりして決めた目標ではないからです。「自分ならやり切れる」という自信があるのです。

ここで諦めて「できない自分」になることは、本人のセルフイメージと大きくかけはなれているのでしょう。

これは、「人に叱られるからがんばろう。」という他人軸で考える子どもとはまるで違う考え方です。自分軸で考えているのです。

素直である

「何でもできる子」は素直です。教師の説明をよく聞き、それを生かす力があります。授業のポイントをよく聞き、それをどうやって自分なりに使うかを考えることができるのです。

そして、ただ「素直」なだけではありません。彼ら・彼女らは、素直+自分なりの工夫」を加えることができるのです。

図工の学習が分かりやすいでしょう。先生が作品の手本を見せます。そして、先生がした工夫点を紹介します。

ここで多いのは、「ほとんど先生と同じ作品を作ってしまう。」という子どもです。そのような子どもは確かに「素直」ですが、自分の頭で考えた形跡が相対的に見て低いことも事実でしょう。

それに対し、「何でもできる子」は、先生の工夫を自分の作品に取り入れつつも、自分なりの工夫をさらに加え、オリジナリティを追求します。

これも、「私は私なりの作品を追求できる。」「僕は工夫を生かす力があるし、工夫を生み出すこともできる。」という自信、セルフイメージの表れだと思います。

先生が与えたポイントを見事に吸収して、かつ、自分の創造性も磨くことができる。これを毎回のように繰り返し積み重ねていくのですから、グングン成長していってしまうのも、うなずけるのではないでしょうか。

これは、大人の仕事場でも同じことが言えるでしょう。「指示通りしかできない人」と「指示通り+αの提案をしてくる人」とでは、伸び率が違うことが分かると思います。

間違いやできないことをそのままにしない

「何でもできる子」は、「自分ができると思ったのに、結果、できなかった。」ことをそのままにしません。

彼ら・彼女らは、「なぜできないんだろう。」「なぜ間違えたんだろう。」という悔しさを根底にもっています。

これは、やはりセルフイメージが高いからです。「できる自分」というイメージを自分でもっているので、そのイメージが崩れることを嫌うのです。いい意味でのプライドとも言えると思います。

「人から馬鹿にされる・恥ずかしい」というマイナスな出発点では、決してありません。「何でもできるかっこいい自分・自信がある自分」を保つための誇り高いプライドです。

だからこそ、テストで間違いがあれば、日記に「間違えてしまって悔しかったです。」と書いてきます。逆上がりができないと、下校後も公園で練習して、できるまでやり続けます。

さらに、多くの場合、そこに親が寄り添っていることがほとんどです。

そうやって、「できない」ことを中途半端にせずに、「できる」に変えれば変えるほど、「やっぱり自分はどんなことも最終的にはできるようになる力をもっているんだ。」というセルフイメージをさらに強めることができます。

それを繰り返していくうちに、間違いが少なくなるように精度が上がっていき、今までの経験から上達法則を導き出して、加速度的に成長スピードを上げていくのです。

何に対しても楽しんで取り組める

これもとても重要な点です。「何でもできる子」はとにかく楽しんでいるのです。この特徴も、全て今までの特徴とつながります。

彼ら・彼女らは、「自分ならできる。」と思っていますし、「できた」経験をたくさん蓄積しています。自分なりの目標をやり遂げた達成感の心地よさも知っています。

人間は本来「成長する喜び」を感じる生き物だからです。

その楽しさを知っているからこそ、何にでも挑戦します。自分なりの工夫を加えながら、上達を楽しんでしまいます。

この「何に対しても楽しんで取り組める」力は、大人になって仕事をしていると非常に大切な力であることが分かってもらえると思います。

どんな仕事に対しても、「楽しめるところ」を探してしまう人はいるものです。そのような人は決まって、周囲からよい意味で一歩抜きん出ます。上司の目に留まり、さらに上の仕事を割り振りふられ、そしてまた成長していくのです。

これらの特徴は、全て、「自分に対する自信」「高いセルフイメージをもっている」という根っこの部分がしっかりしているからだと言うことは、感じ取ってもらえたのではないでしょうか。

次章では、「自信」や「セルフイメージ」を高めるために、親ができることを書いていきます。

親ができることは何?「何でもできる子」の親のかかわり方

10年も教師を続けていると、子どもを見て、どのような保護者であるのかが大体分かってしまいます。逆も然りです。保護者の方と話していると、子どもの力をおおよそ計ることができます。

一番分かりやすいのは、子どもへの接し方です。この章では、「何でもできる子」を育ててきた親の特徴に着目していきます。

子どもの考えを聞く・否定しない

最も強く印象に残っているのは、「子どもの考えを聞く」ということです。とにかく子どもに全面的な信頼を寄せているのです。ですから、必ず本人の意志を尊重します。

「あなたはどう考える?」「お母さんはこう思っているんだけど、あなたはどうしたい?」といった具合です。子どものことを一個の人間としてきちんと向き合っているのです。

これは大人でも同じです。部下の話を聞かずに、自分で一人で何でも決めてしまう上司。「みんなはどう考える?」と部下たちの意見を尊重する上司。どちらについていきたいでしょうか。もちろん、後者と答える人がほとんどだと思います。

「あなた、習い事は将来英語が必要だから、英会話スクールに通うからね。」と一方的に決められてしまうと、子どもは「ああ、自分の意見は何を言っても取り上げられないのだな。」ということを感じ取ってしまいます。

逆に、「これからの時代は英語が必要だから、英会話スクールに行くこともいいかなぁ~と思っているんだけど、でも、あなたの思いも大事にしたいの。あなたはどうしたい?」と聞かれれば、「私の意見を何よりも大切にしているんだ。」と子どもは感じるのです。

「お母さん、お父さんは私のことを信じてくれている。」という思いが、子どもを成長させる一番の特効薬です。

「私は、信じるに足る存在だ。」と本能的に感じた子どもは、自分に対しての自信をもちます。結果、何にでも挑戦しますし、最後までやり切ろうとします。

必要以上に、自分と他人を比べません。それは、全て「自分は信じられているという自信」があるから。その一言に尽きます。

親子の間に強い信頼関係があると、何かあったときに親を頼るようになります。人間関係で悩んでいるときも、両親に打ち明けてくれるでしょう。心も健康な状態でいることができるのです。

約束を守る

約束にはプラスの約束とマイナスの約束があります。プラスの約束は「ピアノの発表会までがんばったらディズニーランドに行こうね。」と言った約束。マイナスの約束は、「ゲームは1日2時間以内というルールを破るとゲーム機を取り上げるからね。」と言った約束です。

皆さんはどちらの約束が大切だと思いますか。結論から言うと、これは「両方」です。マイナス面の約束を守ることも極めて大切です。これは、言葉に重みが出るからです。

筆者は自分自信の体験からもこのことを学んでいます。「授業中にやるべきことをやっていなければ、休み時間に一緒に鬼ごっこはできないよ。」と子どもに約束したとします。

ここで、課題が中途半端なまま終わっている子どもと遊んでしまうと、「先生はいい加減でも結局許す」という感覚が子どもの中に刻まれます。

逆に、「言ったことはほとんどの場合実行する」教師である場合は、教師の言葉に耳を傾けます。「先生はあなたを守る。」という言葉も、「この先生なら本当に守ってくれる。」と受け取られるのです。

だからこそ、子どもに大切なことを伝えるためには、普段から約束を守っておくことが大切なのです。

ただし、一方的に親が決めてしまうのは、双方が納得した約束とは言いません。一つ目の特徴で「子どもの話を聞く」ことをあげました。つまり、話し合って、双方が納得する約束が重要なのです。

「ゲーム機を買うのは、いいけれど、やる時間を決めた方がいいと思うんだ。宿題をすること、家族と会話をすること、そういった時間を全部大切にしてほしいから。自分で自分のスケジュールを管理できる人になってほしいとも思っていいるしね。どう?」と言って、やる時間を決めることに対する意見を求めます。

ここで合意をした後に、「1日何時間か。」「もし約束を破ったらどうするか。」をお互いに話し合って決めるのです。そして、破った場合は、それを必ず実行します。

一見、時間のかかるプロセスだと思われるかもしれませんが、こういったことを一つ一つ丁寧にやっているのが、「何でもできる子」の親なのです。約束を守るということは、相手の人間としての価値を認めているというサインでもあるのです。

なぜやるか?という目的を共有している

これも、今までの特徴につながります。やはり、子どもを一個の人間として向き合い、大人と同じように話し合うということです。

例えば宿題について。「将来困らないために勉強をしなさい。」これでは、「勉強をする必要性」が今いち分からないし、「子どもの意見を聞いていない」ので、言葉が空回りをします。もっと詳しく、包み隠さず子どもに話すのです。

「宿題というものはとても大切だと思うの。あなたには、大人になって一人でしっかりと生きていける自立した人間になってほしい。自分のことは責任をもって自分でやり、周りの困っている人を助ける力をもった人になってほしい。そう思っているの。宿題は、自分で自分のことをやる責任感や、賢くなって誰かを助けることができる大人になるために必要なことだと思う。あなたはどう思う?」のようにです。

どこまで先を見ているか。どこまで具体的に考えているか。どこまで子どものことを思っているかをしっかり伝えれば、子どもはその「思い」を感じ取るのです。

だからこそ、きちんと約束をしようとします。自分で決めたことをやり遂げようとします。節々に感じる親からの信頼に応えようとするのです。

子どもにとことん付き合う

これは、子どもの探求心を育てたり、楽しむ心を育てるために必要なことです。

逆上がり、昆虫探し、遊び、歴史、何でもいいのです。子どもに寄り添い、一緒に考え、一緒に喜ぶ姿勢が子どもに力を与えていきます。

例えば、「虹ってどうやってできるの?」と子どもが聞いてきたとします。その場で答えを言ってしまうのは避けたいところです。ベターな答えは「一緒に調べてみようよ。」だと思っています。

そして、図鑑やインターネットを使って子どもに調べさせるのです。もちろん、親が横にいて様々アドバイスしながらです。

すると、子どもは自分で答えを見つけ出します。その一番の喜びを味わうことができます。そして信頼しているお母さん、お父さんとその喜びを分かち合うことができます。これ以上の喜びはありません。

そのようなことを繰り返していく内に、自分で興味をもったことを勝手に調べるようになります。自分で自分の好奇心をグングン育てていくのです。親は調べたことを褒め、感心し、尊敬を込めて接すればよいのです。

それは、一見、くだらないと思うようなことでもよいのです。

筆者は幼少期、「デジモン」のアニメにハマり、そのセリフをひらすら覚えていました。筆者の母親は、決してそれを否定せず、記憶力や集中力を褒めてくれました。

その結果、好きなことにはとことんハマるようになり、ハリー・ポッターの本を各巻50回以上読んだこともあります。お陰で勉強しなくても国語の成績で困ったことがありませんでした。

英語を覚えるときにも、その集中力と記憶力は威力を発揮しました。

どのような小さなことにも、目をキラキラさせて、生き生きとする子どもの姿は宝です。「何でもできる子」の親はそのことが分かっています。

だからこそ、彼ら・彼女らは、自分が納得するまでとことん追求する子どもに育っていくのでしょう。

まとめ

いかがだったでしょうか。

「何でもできる子」の親が行っているものは、決して特別なものではないことが分かっていただけたのではないかと思います。

キーワードは「子どもへの信頼」「大人と同じように接する」「一人の人間として尊重する」ということです。これができれば、子どもは自尊心を高くもち、セルフイメージを高く保つために、無理なく自然に成長していきます。

しかし、これは、あくまで「何でもできる子」という理想中の理想の話です。

筆者は、そこまで固く考えなくてもよいと思います。なぜなら、理想的な親になろうと意識し過ぎていることは、無理をして自分をよく見せようとしていることだからです。

それは結局、自分と周囲の親を比べてしまっています。大事なのは、比べるのではなく、自分はどうしたいかを考えることです。

読者の方々は、自分なりの理想を追求すればよいのです。背伸びをする必要はありません。

そして、ありのままに自然体で生きる親の姿を子どもは見ています。結局は、親がどのように生きているのかが、子どもにとって一番の影響力をもっているのです。

「あなたはあなたのままでいい。」「あなたが大切なんだ。」という思いを子どもに伝えてもらえればと思います。

この記事を読んで、様々なご意見や考えを聞かせてもらえると有難いです。

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