逆上がりができるコツを徹底解説!最速練習法と補助具の紹介

教え方のコツ

「逆上がりがなかなかできるようにならない・・・。」「ネットで調べた方法をやってみても続かない・・・。」そのように思っておられるママさん、パパさんが多くいるのではないでしょうか。

逆上がりは、他の鉄棒技と比べて、筋力が必要と言われています。つまり、体の発達具合によってできやすさが変わってくるのです。

「そうは言っても学校の授業であるし・・・。」と思い、子どもと一緒に練習しても、なかなかできるようにならなければ、モチベーションも続きませんよね。

この記事では、教員経験10年の元小学校教師である筆者が、逆上がりの最速上達法を教えていきます。

筆者が教員時代のある年の3年生。1年間の鉄棒技の上達度変化はこのようになりました。

  • 後方片膝掛け回転1人(3.1%) → 28人(+84.4%)
  • 前方片膝掛け回転0人(0%) → 14人(+40.6%)
  • 後方両膝掛け回転0人(0%) → 15人(+46.8%)
  • 前方両膝掛け回転0人(0%) → 人(+28.1%)
  • だるま前転0人(0%) → 19人(+59.3%)
  • だるま前転0人(0%) → 人(+28.1%)
  • 後方支持回転1人(3.1%) → 人(+18.7%)
  • 前方支持回転0人(0%) → 人(+15.6%)
  • こうもり降り下り0人(0%) → 19人(+59.3%)
  • ホワイトこうもり0人(0%) → 13人(+40.6%)
  • こうもり大車輪0人(0%) → 人(+12.5%)
  • こうもり振り上がり0人(0%) → 人(+9.3%)

これらの技を同時並行で、子どもたちと達成していきました。この年はたまたま逆上がりを重点的にやりませんでしたが、別の年に、逆上がりでも、数多くの子どもができるようになっていっています。それは、鉄棒の練習方法やコツがどの技も共通しているからです。

一般的に言われている指導法とは、ほんのちょっと違う視点が、大きな効果の差を生みます。この記事の内容は他の鉄棒技にも応用が効くようになっていますので、一つでも良いと思えるものを見つけて、実践してもらえればと思います。

逆上がりの最速上達法はズバリ!補助具+練習頻度

逆上がりの最速上達法は適切な補助具の使用と練習する頻度がポイントとなります。

「なんだ。なんか見たことがある方法じゃん。」と思った方もいると思うので、詳しく解説します。

まずは、補助具についてです。

おすすめの補助具は「くるりんベルト」

筆者がおすすめする補助具はズバリ「くるりんベルト」です。ここからは、補助具の有効性と、「くるりんベルト」イチオシする理由を説明していきます。

補助具を何よりも優先する理由

まず、なぜ補助具が必要なのか。それは、「できる感覚を身に付けるため」です。逆上がりができずに諦めてしまう子どもの最も多い要因は、なかなか上達を可視化することができないということです。

補助具があれば、何となく取り組んでいても、逆上がりができてしまいます。もちろん補助具を外せば、まだできない段階なのですが、「逆上がりはこのように回る感覚なんだ。」と体で回旋感覚を身に付けることができるのです。

さらに、回転している状態で練習を繰り返していくので、自然と回旋に必要な筋力が鍛えられていくことになります。逆上がりに必要な土台となる力も同時に育成しながら、逆上がりそのものも練習できてしまうという一石二鳥の方法なのです。

「くるりんベルト」は魔法の道具

魔法の道具。「くるりんベルト」を使用した教師の中で使われる言葉です。この「くるりんベルト」は現役の教員たちが研究に研究を重ねて作ったものです。

このベルトを使ったことで、「クラスの子どもたちが逆上がりができるようになった!」という声が多く届けられました。それでは、この「くるりんベルト」がもっている特徴を紹介します。

このベルトが優れているのは「5段階で長さを調整できるスモールステップ」になっている点です。

体育で最も大切な指導のポイントは、「到達度が低い課題をいくつもクリアしていけば、いつの間にか技ができた。」というスモールステップにすることです。この小さな課題をクリアしていくという成功体験が、「私は上達している。」と何よりも子どもを支えることになります。

このくるりんベルトの使用法は以下の通りです。

このベルトを使用すれば「回れた!」「やった!」「次は赤のレベルだ!」といった活気ある声が溢れます。きっとお子さんの生き生きとした表情を見ることができると思います。

  • 体と鉄棒が一番近くなるベルトの目盛りにする
  • ベルトを使って3回できたら目盛りを1段階ゆるくする
  • 上記のやり方を最も体と鉄棒が遠くなる目盛りになるまで繰り返す
  • 最終段階をクリアしたら、ベルトなしで逆上がりにチャレンジ!

しかし、この「くるりんベルト」を使ってもなかなか逆上がり達成までに時間がかかる子どももいます。そのような子たちに筆者が行っていたことを紹介します。

「くるりんベルト」+大人の補助のコンビネーション

最強のコンビはベルトと大人の補助を同時に行うことです。以下に補助のやり方とポイントをまとめます。

  1. 補助をする人は鉄棒を挟んで子どもと向き合う形で座る。(筆者は左側に座ることが多い)
  2. 地面を蹴り上げて逆上がりをした子どもの腰に片手を当てて、そのままに上に押し上げる
  3. できるだけ速く行う
  4. 「1、2、3、はい。」と声を掛けると良い。(2~3秒で1回転のペースで行う)

この補助を合わせると5段階だったスモールステップが11段階に変化します。①大人の補助ありで5段階ベルト3回成功 ②大人の補助なしで5段階ベルト3回成功 ③大人の補助ありで4段階ベルト3回成功・・・ ⑪ベルトなし・大人の補助ありで3回成功 ⑫一人で挑戦 のようにです。

子ども目線で見ると、順調にスモールステップをクリアし、自分が成長している感覚になるので、モチベーションが持続します。さらに、補助があるということも、大きな心の支えになります。

そして、大切なのはスピードです。「1、2、3、はい。」の1クールをテンポ良く、リズム良く行うことによって、速く逆上がりを行うようになります。すると、どうなるか。自然と地面を蹴り上げる力が強くなります。自然を体を鉄棒に近づけるようになります。終わった後もすぐに次に移るので、勢いを乗せて最後まで回りきる癖が身に付きます。そして、速く練習する方が、筋肉が身に付くのも速いのです。

30人以上の子どもたちを短い休み時間で支援するために編み出した指導法でしたが、結果的にこちらの方が子どもたちができるようになっていくことに気付きました。

効率的な練習頻度

結論から言えば、1日3~5分を毎日、です。

よく「学校の授業で今逆上がりをやっているから!」とその期間だけ徹底的に練習する話を耳にします。

それでもできるようになる子どもはいます。それは、もともと逆上がりができるレベルの筋力、運動能力を気に付けていたからです。

しかし、なかなかできない子どもに、1日に10分も、20分も練習させると、モチベーションも低下してしまうし、体にも負担がかかります。だから、1日3~5分なのです。

さらに、勉強と同じように、運動も脳が記憶しています。皆さんは、「昨日は自転車に乗れなかったけれど、今日やったらいきなりレベルアップしていた。」といった経験を運動・スポーツ・楽器演奏などでしたことがありませんか?

それは、勉強と同じように、体の動きも脳が記憶しているためです。睡眠を取ると、その日の運動記憶を脳が整理します。すると次の日に、運動イメージが最新にグレードアップされた状態で、新たに運動経験の蓄積をすることになります。

脳のイメージが「技の完成形」に近づければ近づくほど、体の動きがそれに追いついてくるようになります。体を動かす信号も脳が送っているのですから、動きも進化していくのです。

筆者は、学校の休み時間に子どもたちの鉄棒補助に毎日付き合っていました。「1人1日1補助だけ」という約束を子どもたちと結び、それ以上は補助しませんでした。

すると、その1回の補助のチャンスに全力を注ぐことになり、1人1日1分にも満たない時間でも、次々と完成形に進化していきました。

さらに、「もっとやってほしい!」と思っている中で補助をストップすると、「じゃあ、明日もがんばろう。」とモチベーションが持続することになります。

もちろん、自主的に練習するのは大いに結構。体に負担がかかり過ぎない程度にならば全然OKです。せっかく、やる気になっているのを禁止にしてしまってはかわいそうですから。

「くるりんベルト」(補助具)+大人の補助+1日3~5分を毎日の組み合わせで、かなりの進歩・成長が見られるはずです。ここからは、練習効率をさらに上げる逆上がりのちょっとしたポイントを紹介していきます。

逆上がりを成功させるコツ

ここからは、逆上がりの上達速度をさらに加速させる3つのポイントを紹介します。

踏み込む足は鉄棒の真下より前

逆上がりは、地面を蹴り上げた後に腰を鉄棒に近づける必要があります。もし、踏み切る足が鉄棒の真下より後ろにあると、体の構造上、どうしても近づけることが困難になってしまいます。だから、鉄棒の真下より前に踏み切り足を持ってくることが必要になってきます。

鉄棒の真下に線を引こう

シンプルですが、鉄棒の真下に線を引くことは効果的です。「踏み切り足がこの線を越えるようにしよう。」と声掛けをすることができます。

子どもは、「踏み切り足を前に」という言葉だけは、やはり十分なイメージをすることができません。線を引くことで、「ここのラインを越えたら合格」と達成基準を可視化することができます。目に見える形で基準を示すことは、運動に限らず、勉強でも、子どもにとって優しい視点ですよね。

足をしっかり振り上げる

当たり前ですが、地面を強く蹴り上げて、体を持ち上げなければ逆上がりはできません。「くるりんベルト」や補助具を使って、速いテンポで回る練習をしていれば、自然と、強く地面を蹴り上げるようになります。

しかし、蹴り上げた後の足の動かし方がバラバラの方向では、練習効率も下がってしまうかもしれません。そのようなときは、補助をして教えることも大切です。

踏み切り足を持ち上げる

補助のポイントは「踏み切り足を持ち上げる」ことです。分かりやすく言えば、最初ではなく、最後に上がってくる足の膝裏やもも裏に手を添えて、上に持ち上げてあげるのです。

よく「最初に振り上げた足を持ってあげる補助」の話を聞きますが、後に振り上げる足の補助の方が大切です。後の足が地面から離れたときは、体は空中にあります。

後の足が地面に近いままだと、どうしても体重が地面に引っ張られてしまいます。逆に、鉄棒に近づけることができれば、そのまま体重を鉄棒に引っかけている腰に移動させることができるのです。

これは、足の動かし方が分かっていない場合の補助です。最初に教えて、後は「ベスト+腰を持ち上げる補助」がメインで十分だと思います。あくまで、補足の補助として捉えてください。

腰を鉄棒に近づける

このポイントも「くるりんベルト」や腰を持ち上げる補助をしていれば自然と身に付いてきます。腰を近づけなければ、体重が鉄棒の上に乗っかる方向へ移動せず、地面に引っ張られてしまう。

最重要ポイントとも言えるからこそ、「くりんベルト」や他の補助具が強制的に腰が鉄棒に近づくようになる作りになっているのだと思います。

ただ、このポイントがなぜ必要なのかを子どもが理解していると、ベルトを着けた練習中も自分で意識するようになります。すると、当然、上達速度は上がります。

子どもの力を信じ、大人がポイントを丁寧に説明することは、子どもを信頼しているというサインです。そのような信頼を子どもは敏感に感じ取ります。信頼に応えようと、さらに意欲的に練習に励むことでしょう。

逆上がりができるようになる下準備

ここで紹介するのは、「今すぐではないけれど、いずれ逆上がりができるように。」という方や「逆上がりもやりながら、その土台となる力もやはり付けたい。」という方に知っておいてほしい「逆上がりに必要な基礎技」です。

全ての技ができなくても「ベルト+補助」をやりながら筋力か感覚を身に付けていくことは可能です。それでも、「前回り」「ダンゴムシ」「足抜き回り」はできていた方が成功率は上がると思います。

それぞれの技がなぜ必要なのかを解説していきます。

前回り

前回りは全ての技の基本です。大切なのは「回旋感覚」を身に付けることです。鉄棒は基本的に回転する技がほとんどとなってくるので、逆上がりのためだけではなく、できるようになっておきたい技と言えるでしょう。

前回りができれば、前方片膝掛け回転、前方支持回転(空中前回り)、だるま前転、前方両膝掛け回転(地獄回り)などに派生していきます。「前回りなんて簡単!」とお子さんが思っていれば、「できるだけ速く、連続で」できるようになっておけば、応用技へスムーズに入ることも可能です。

ダンゴムシ

ダンゴムシは、逆上がりに必要な腕の筋力を鍛えるために行います。「あごをきちんと鉄棒の上に出して5秒ぶらさがる」が合格基準です。ただ、大人でも結構きついのが分かります。

ダンゴムシができなくても、逆上がりができる事例を筆者はたくさん見ているので、無理にやらせる必要はありません。ダンゴムシは、筋トレのようなもので、長く続けるとどうしても嫌になってしまいますから。

「お母さん、お父さんとどっちが長く続けられるか勝負!」「昨日は2秒クリアだからレベル2!今日はレベル3にチャレンジ!」というように、楽しく取り組むことができる工夫をしてあげると、モチベーションも持続できると思います。

足抜き回り

前回りで身に付けたのは、「前に回旋する感覚」です。しかし、逆上がりは、前回りと逆方向に回転をするので、「後ろに回旋する感覚」を身に付ける必要があります。それを養うのが足抜き回りです。

この足抜き回りは、かなり重要で、筆者はどの学年を受け持っても、必ず全員できるように取り組ませていました。

足抜き回りができると「後ろに回転する感覚」が身に付くのは前述した通りです。加えて、この技ができると、どのような技に取り組んでも、安全に降りることができるようになります。

前方・後方片膝掛け回転、前方・後方両膝掛け回転、こうもり降り下りなどの技が終わった後、もしくは途中で失敗して宙ぶらりんになった後に、足抜き回りの動きを使って下りることができます。

安全に鉄棒を行うために、必須の技を言えるでしょう。

大人が寄り添うことが大切

そもそも逆上がりを子どもはなぜできるようになりたいのでしょうか。

一つは、自分の力を信じていて、それを無意識に証明したいがため。もう一つは、やはり身近な大人に認めてもらいたいという思いがあるはずです。

筆者が教員のときも、休み時間に一緒に取り組んでいるときと、子どもたちだけで取り組んでいるときでは、圧倒的に教師が近くにいたときの方が達成率は高かったです。補助をしていなくても、見ているだけで達成率が上がるのです。

達成した瞬間を共によろこんでくれる大人がいる。それが子どもたちのエネルギーになり、大人が掛ける温かい言葉が、子どもたちの生きるエネルギーになるのです。最終的には、そういった一つ一つの経験が、自己効力感や生きる力の土台となっていきます。

まとめ

逆上がりを最短、最速でできるようになる方法はとてもシンプルです。

  • 「『くるりんベルト』+補助+1日3~5分を毎日」の組み合わせ
  • 「踏み込む足は鉄棒の真下より前」「足をしっかり振り上げる」「腰を鉄棒に近づける」

ここまでのポイントを意識すれば、かなりできるようになるはずです。

そして何よりも、大人が温かく寄り添うことです。筆者は体が細く筋力があまりない女の子と3~4か月毎日のように練習して、できたよろこびを分かち合ったことがあります。

例え、すぐにできなくても、できた瞬間のよろこびは、掛けた時間に比例して大きくなるはずです。

最後まで読んでくださり、ありがとうございました。「これができれば鉄棒のヒーロー・ヒロインになれる」といった技やそのポイントは、また別の記事で書いていこうと思います。

この記事を読んで実践しれできた報告や、なかなかうまくいかないことなども教えてくれると有難いです。

記事の内容が「よかった」「ためになった」と思われた方は、SNS等にシェアしてくださるとうれしいです。最後まで読んでくださりありがとうございました。

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